2010年6月4日金曜日

カラヤン録音小史 - 06


1959年3月からDECCAと並行して、カラヤンはDG(ドイツ・グラモフォン)でも録音を開始していた。

そして1961年12月からカラヤンは2度目のベートーヴェン交響曲全集の録音(今回はステレオ録音)に着手する。

録音現場を仕切るのは、指揮者でもある名プロデューサー、Otto Gerdes / オットー・ゲルデス。


ベートーヴェン交響曲全集
ヘルベルト・フォン・カラヤン
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1961年~1962年(DG)

荒削りで硬い鋼のようなサウンド。スピーディーで圧倒的なドライブ感。ある意味では、とても現代的で、間違いなく売れ筋路線を意識したベートーヴェン交響曲全集。



カラヤン&ゲルデスのコンビはベートーヴェン交響曲全集録音の勢いを駆って、次は一気にブラームス交響曲全集を1963年から1964年にかけて録音する。

そして1964年の夏からバッハの《ブランデンブルク協奏曲》やモーツァルトのセレナーデやディヴェルティメントなど、小編成で演奏出来る18世紀の音楽を、音楽会のシーズンオフを利用して8月に録音するようになる。

録音会場はいつもDGが専属会場のように頻繁に使うベルリンのイエス・キリスト教会ではなく、カラヤンの夏の別荘があるサンモリッツのヴィクトリアザール。

ベルリン・フィルの終身首席指揮者兼芸術総監督に就任してもうすぐ10年。

これら18世紀の作品群の録音はカラヤンによるベルリン・フィル改造の一環として行われたものではないだろうか。

硬質で男性的な、勢いのあるベルリン・フィルを、より柔和で、合奏精度の高い室内楽的緻密さを備えた自分好みのオーケストラに改造するための練習として、上記の曲を録音したと考えるのは邪推だろうか。


バッハ / ブランデンブルグ協奏曲
ヘルベルト・フォン・カラヤン
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1964年(DG)

《ブランデンブルク協奏曲》はコンサートマスターのミシェル・シュヴァルベをはじめ、カールハインツ・ツェラー、ヘルムート・コッホやアドルフ・シェルバウムなど、ベルリン・フィルの名手たちを集めて録音された。

古楽器演奏を聴いてしまった今の耳には、穏やかで華麗なこの演奏は少し大袈裟に聴こえるが、名手たちの見事な腕前を堪能出来るのは確か。

カラヤン録音小史 - 序
カラヤン録音小史 - 01
カラヤン録音小史 - 02
カラヤン録音小史 - 03
カラヤン録音小史 - 04
カラヤン録音小史 - 05
カラヤン録音小史 - 07 ・・・ つづく
カラヤン録音小史 - 08
カラヤン録音小史 - 09
カラヤン録音小史 - 終

update 2010/06/04

0 件のコメント:

コメントを投稿