2010年6月5日土曜日

カラヤン録音小史 - 終


カラヤン最後の録音は、カラヤン最後の演奏会を収めたもの。

時は1989年4月23日、日曜日の午前11時。
場所はウィーンのMusikvereinssaal / ムジークフェラインザール。
オーケストラはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。
演目はブルックナーの交響曲第7番。

記録によれば4月18日~23日にかけて、演奏会の前に録音されたものらしい。

しかしウィーン・フィルのコンサートマスター、ウェルナー・ヒンクの記憶によると、これは4月23日の演奏会のライブ録音らしい。

練習時に録音されたもので一部補遺されたライブ盤だろうか?

またこの録音にはピアニスト、指揮者でもあり、DGでは辣腕プロデューサーとしても活躍していたCord Garben / コード・ガーベンが参加している。

長い間、自己流プロデュースにこだわっていたカラヤンも、ついにその限界を感じたのだろうか?


ブルックナー / 交響曲第7番
ヘルベルト・フォン・カラヤン
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1989年(DG)

この作品は結果的にカラヤン最後の録音となったのだが、不思議なことに、この録音からはカラヤンらしい音、磨きのかかった “色・艶” 、が感じられない。それにカラヤンらしい、しなやかに音楽を手繰り寄せるような指揮も感じられない。

まるで素焼きの大きな壷から、美しいけれど淡々とした音楽が、独りでに溢れ出ているような感じだ。



演奏会の翌日、健康上の理由で、カラヤンはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の終身首席指揮者兼芸術総監督を辞任する。

そしてカラヤンはDGとの長年の契約を解消し、ソニーと新たに契約を結び、ウィーン・フィルを指揮して得意のレパートリーを再録音する予定だったらしい。

“本妻” であるベルリン・フィルと別れ、“愛人” であるウィーン・フィルとよりを戻そうとしたのだろうか。

しかしカラヤンの願いは叶えられなかった。

3ヶ月後の7月16日、ザルツブルク郊外アニフにてヘルベルト・フォン・カラヤン永眠。

享年81歳。

毀誉褒貶の多い指揮者だったが、カラヤンなしでクラシック音楽界は発展しなかった事は確かだろう。



カラヤン録音小史 - 序
カラヤン録音小史 - 01
カラヤン録音小史 - 02
カラヤン録音小史 - 03
カラヤン録音小史 - 04
カラヤン録音小史 - 05
カラヤン録音小史 - 06
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カラヤン録音小史 - 08
カラヤン録音小史 - 09

update 2010/06/05

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