2010年6月5日土曜日

カラヤン録音小史 - 07


1970年、DGの名プロデューサー、オットー・ゲルデスもカラヤンの元を離れる。

EMIのウォルター・レッグ、DECCAのジョン・カルショー、そしてDGのオットー・ゲルデスという錚々たるプロデューサー達が1970年までカラヤンを支えてきた。



オットー・ゲルデスが離れた後、カラヤンはEMIと再契約し、多くの録音を開始する。

これはDGに対する牽制球とも考えられる。DGとEMIを競わせ、自分に有利な状況を作り出すためのカラヤンらしい戦略だ。

1970年、EMIと東ドイツ(当時)のドイツ・シャルプラッテンによる共同企画で、カラヤンはワーグナーの楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》を録音する。

プロデューサーはEMIのロナルド・キンロック・アンダーソン、ドイツ・シャルプラッテンのディーター・ゲルハルト・ヴォルムの二人。

オーケストラは長い歴史と伝統を誇り、この楽劇を知り尽くしたドレスデン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ドレスデン)、録音会場は優れた音響効果で知られるドレスデンの聖ルカ教会。

《ニュルンベルクのマイスタージンガー》はカラヤンの歴史の中でも珍しい体制で録音された名盤だ。


ワーグナー / ニュルンベルクのマイスタージンガー
ヘルベルト・フォン・カラヤン
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
録音:1970年(EMI、ドイツ・シャルプラッテン)



この頃からカラヤンは自分に忠実な子飼いのスタッフ、ミシェル・グロッツが録音現場に姿を現す。

ミシェル・グロッツがプロデューサーとしてEMIの録音に参加するのは1970年からで、後日グロッツはカラヤンがモナコに設立した自身のレパートリーを映像化するための映像制作会社、テレモンディアルにも加わる。

1970年代はカラヤンが自分に忠実な子飼いスタッフをプロデューサーに据えて録音を開始した時代とも言える。

カラヤンは実力のあるプロデューサーたちの “小言” から開放された。

カラヤン録音小史 - 序
カラヤン録音小史 - 01
カラヤン録音小史 - 02
カラヤン録音小史 - 03
カラヤン録音小史 - 04
カラヤン録音小史 - 05
カラヤン録音小史 - 06
カラヤン録音小史 - 08 ・・・ つづく
カラヤン録音小史 - 09
カラヤン録音小史 - 終

update 2010/06/05

0 件のコメント:

コメントを投稿