2005年12月22日木曜日
シリーズ : ジャケット・デザイン / ブルーノート特集 Part 2
写真の使い方 : フランシス・ウルフが撮影したミュージシャンの写真をほぼ正方形のジャケットのフォーマットにどう落とし込むか?その際のトリミングやタイトルとの関係、そして色使いなど。デザイナー、リード・マイルスが考えるべき事は山ほどある。
ジャッキー・マクリーン 『スイング・スワング・スインギン』
ジョン・コルトレーン 『ブルー・トレイン』
ホレス・シルヴァー 『ホレス・シルヴァー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ』
デクスター・ゴードン 『アワ・マン・イン・パリ』
ウエイン・ショーター 『スピーク・ノー・イーブル』
ボビー・ハッチャーソン 『ハプニングス』
ザ・スリー・サウンズ 『ムーズ』
ソニー・クラーク 『クール・ストラッティン』
フランシス・ウルフが撮影した多くの写真は “ジャズの現在” を切り取るようなドキュメンタリー性を備えている。だからブルーノートのジャケットには “ノン・フィクション” 的な匂いが漂っている。このノン・フィクション的なものこそ、ブルーノートのジャケット・デザインの特徴の一つと思える。
しかしそれはミュージシャンを使った場合。ミュージシャン以外の女性を使った時、そこから醸し出される雰囲気は、それまでのブルーノートのものとはかなり異なるものとなる。
ジャッキー・マクリーン 『スイング・スワング・スインギン』
個人的には大好きなデザイン。アルト・サックスを斜めに構えたマクリーンが右端の窮屈な空間から飛び出そうとしているようだ。タイトルの大きさ、色の変化と共に音楽のリズミカルな躍動感が溢れている。
ジョン・コルトレーン 『ブルー・トレイン』
収録の合い間に自分の音楽につて、深く静かに考えるコルトレーン。スタジオでのそんな一瞬を逃さず、見事なアングルで切り取る。そして寡黙な抑制された色使い。文句無しのジャズ・アルバム正当派デザインだ。ところが、このシーン、本当はコルトレーンがアイスキャンディを食べているところを撮影したものらしい。
ホレス・シルヴァー 『ホレス・シルヴァー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ』
このホレスのポーズは一体何だ? 多分他のミュージシャンに何かを指示している瞬間だろう。ミュージシャンっぽいなぁ。バックを色ベタで消しているだけに、印象的なポーズが目立つ。顔が左手の影で隠れてるが、これはポーズがウリの一枚。
デクスター・ゴードン 『アワ・マン・イン・パリ』
これってジャズのジャケットなの?と思ってしまうほどスタイリッシュな雰囲気が漂うデザイン。まるで高級ファッション雑誌に掲載されている紳士用香水か何かの広告のようだ。それにタイトルもそれっぽい。ここからデクスターの豪快な音色は想像出来ない。
ウエイン・ショーター 『スピーク・ノー・イーブル』
後ろにウエインが控えているものの、この東洋系の女性は誰? まぁ、誰でもいいが、登場理由が必要ではないか? それに何故かタイトルの上にキス・マークが付いている。音楽同様にミステリアス。
ボビー・ハッチャーソン 『ハプニングス』
この女性は誰? このポーズ、この風貌からして明らかにモデルだと考えられるが、起用意図は全く感じられない。このジャケット、一枚の写真芸術として見ればなかなかの出来だが、何らかの意味が必要だろう。
ザ・スリー・サウンズ 『ムーズ』
アルフレッド・ライオンの嫁サン、ルース・メイソンを起用した理由も、「あへっ~」とした表情の写真を使った理由も全く不明だ。ひょっとすると一曲目の《ラブ・フォー・セール / 売り物の愛》のビジュアル化を狙ったのか?
ソニー・クラーク 『クール・ストラッティン』
これは偉大な失敗作として掲載したい。評価の高いジャケットだが、あまりにも写真をタイトル曲の意味に合わせ過ぎている。タイポグラフィーの処理に関しても同じ。あまりにもイージー過ぎる表現だと思うが、如何?ちなみにこの写真はフランシス・ウルフではなく、リード・マイルスが自ら撮影したもの。
update 2005/12
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