2001年3月25日日曜日

聴く薬 / ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム


その曲は聴く薬みたいなものだ。

ソウル・バラード風のその曲を収録したレコードを以前は愛聴していた。だがある事情でそのレコードを手放すはめになってかなり経つ。

最近その曲が凄く聴きたくなった。それはかなり落ち込んでいる証拠だ。



春は一番嫌いな季節でもあるし、長年生きていると嫌な事が不思議と集中的に重なる時期もある。聴く薬、あの歌手のあの曲が必要な精神状態になってきた。

それで大阪中のレコード屋(今はCDショップと言うべきか?)、タワー・レコード、HMV、新星堂なんかを探し回ったけれど、結局その歌手のその曲が入ったCDは廃盤になっていて、手に入らなかった。

その曲はオーティス・レディングの『オーティス・ブルー』にも収録されているので、代りにそれを買ってみた。とりあえずオーティスのカバーで我慢しよう。



ちょっと違うなぁ



オーティスはかすれた声で、ウエットでエモーショナルに切々と歌う。

こうなると、余計に本家本元が聴きたくなる。既に廃盤になっているのなら、中古CDショップで探し出すしかない。

大阪はキタの梅田から、心斎橋のアメリカ村までめぼしい中古CDショップを連日ハシゴするが見つからない。残るは勤務先である難波エリアの中古CDショップのみ。そこで見つからなかったら、ちょっと難儀だ。

連戦連敗で諦めムードが漂い出したある日、仕事を終え、気合を入れ直して会社を飛び出す。その日は会社のすぐ近所の中古CDショップに行ってみる事にした。 しかし、そこは小さな辛気臭い店で、洋楽より邦楽、特に演歌の中古CDなんかが揃っていそうな店だ。いくらなんでもこんな所には無いだろうなぁ?、と最初 から敬遠していた。

とりあえずダメモトで店の奥の片隅に見えるソウル&ブラック系のコーナーを目指す。

す、す、するとそこには例の歌手の例の曲が入ったCDが!

灯台下暗しとはまさにこの事だ。

但し、残念ながらそれはオリジナル盤の中古CDではなく、売れ残りの編集モノ・コンピレーション・アルバム(だが一応新品だ!)で、そこに例の歌手の例の曲は入っていた。3枚組で当初6,000円で売り出されていたのが2,300円だった。

この手のコンピレーション・アルバムは本当は嫌いなんだが・・・。



その時は訪れるだろう



川縁の小さなテントで生まれた男は必ず世界が変わると信じている。

当時のアメリカで生きる黒人の希望を艶やかな声で肯定的に歌い上げたサム・クックの美しいソウル・バラード、《A Change Is Gonna Come / ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム》。

それは純度の高い蒸留酒の酒精が喉の奥から胃袋に広がるように体に染み込む。

サム・クックは1964年12月11日、ロスのモーテルで支配人の白人中年女性に誤って射殺される。享年33歳。あと1ヶ月で34歳だった。

サムを尊敬し、サムに続きこの曲を歌ったオーティス・レディングも1967年12月10日、飛行機事故による非業の死を遂げる。享年26歳。ソウル・ ミュージックを代表する二人の才能溢れる歌手はあっけなく去っていった。

だが二人が歌ったこの曲が提起するものは今の時代にも、今の世界にもあり、それは未解決のまま残されている。

では誰がこの曲を歌い続けるのだろうか?


A Change Is Gonna Come

I was born by the river
In a little tent
Oh and just like the river
I've been running ever since

It's been a long
A long time coming
But I know a change gonna come
Oh yes it will

It's been too hard livin'
But I'm afraid to die
'Cause I don't know what's up there
Beyond the sky

It's been a long
A long time coming
But I know a change gonna come
Oh yes it will

I go to the movie
And I go downtown
Somebody keep tellin' me
Don't hang around

It's been a long
A long time coming
But I know a change gonna come
Oh yes it will

Then I go to my brother
And I say, brother, help me please
But he winds up knocking me
Back down on my knees

And oh there been times that I thought
I couldn't last for long
But now I think I'm able
To carry on

It's been a long
A long time coming
But I know a change gonna come
Oh yes it will

- Sam Cooke -


Sam Cooke / サム・クック
Ain't That Good News / エイント・ザット・グッド・ニュース

update 2001/03

※ 以前持っていたサム・クックのレコートがCD化された(輸入版)。
タイトルは 『Ain't That Good News』。 赤バックに文字は白と黒、
サム・クックの写真はモノクロで、シンプルなジャケット・デザインだ。

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