2004年3月26日金曜日

時代とロック : 昭和の香り Part 2 / カム・トゥゲザー


去年の夏、仕事で或るミス・コンテストの運営に参加した。

書類上の一次審査から最終審査に至るまで、20歳前後のきれいな女性に多数会う機会に恵まれた。だが応募された女性の中から私に “何か” を訴えてきたのは一人だけだった。その時彼女から感じたものも、小雪から感じたものと同じ様な不思議な感覚だった。しかし二人の外見はまったく違う。

その彼女は残念ながら最終選考で落選した。



ロックの中にはいつも微量の死が隠れている。

そんなことを感じながら、毎日一人でロックを聴いていた。

死神を追い払うために、ロックはあれほどストレートに感情を表現するのだろうか。死神に脅されているからこそ、あれほど切なく甘いラブ・ソングが歌えるのだろうか。

当時14歳の少年だった私には自分の将来がまったく予測できなかった。

ひょっとすると、自分も或る日突然、白昼の街角で死神と出くわすかもしれない。

それに 「ドント・トラスト・オーバー・サーティー!」 「30歳以上を信じるな!」 そんなメッセージが存在した時代だから、ある日を境に自分も30歳以上になるということが実感出来なかった。

一度はロックに救われた。だが次は殺られるかもしれない・・・。




その時に全てが判った。

小雪、ミス・コンで会った彼女、そして目の前にいる彼女。

彼女たち三人は昭和40年代半ば、つまり1970年初頭の頃、私の周りにいた女性たちと同じような雰囲気をもっている。それは高校へ通う電車の中で見かけた女子高校生たち、アルバイト先で知り合った年上のお姉さんたち、それにテレビやポスター、グラビアで目に止まった女性たちだ。

もう30年以上も前に、私は彼女たち三人と何処かで出会っていたのだろうか。いや彼女たちを通じて、あの頃を思い出していたのだろう。

彼女たちが醸し出していた何となく懐かしい雰囲気、“昭和の香り” が私をあの頃へ引き戻した。



ロックを聴きはじめ、世界の風景がそれ以前のものと確実に違って見えるようになった頃、大阪では千里丘陵で万国博覧会の準備が進められていた。

ビートルズの《カム・トゥゲザー》がラジオから流れていた。





Beatles, the / ザ・ビートルズ
Abbey Road / アビイ・ロード

update 2004/03

時代とロック : 昭和の香り Part 1
時代とロック : 昭和の香り Part 3

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