2004年3月26日金曜日
時代とロック : 昭和の香り Part 1 / 悪魔を憐れむ歌
先日、仕事の打合せである女の子に会った。
21歳ということだから、女の子ではなく、女性と言った方が正しいだろう。しかし私は47歳だ。自分の年齢から比べると、彼女は女性ではなく、女の子なのだ。
そんな彼女と話をしているうちに、私は何か妙なものを感じ始めた。それはある種の懐かしさとでもいうべきものだ。
私がロックを聴き始めたのは中学2年生の秋からだ。
その頃、私はある理由でひどく落ち込んでいた。とてつもない孤立感におそわれ、苛立ち、苦しんでいた。そんな精神的どん底状態から私を救ってくれたものの一つがロックだった。
ジョン・レノン、ブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン・・・。
舌足らずのフランス語でジェーン・バーキンが歌う 《ex-fan des sixties / 想い出のロックン・ローラー》 に出てくる60年代のロック・ヒーローたちは暗くて、息苦しい世界から私を解放してくれた。
そこに深い理由なんか無い。ロックに出会ったのが人生で一番多感な時期で、またその時期に私は精神的な支えを必要としていたからだろう。
私はロックから施しを受けたのだ。
テレビを観ていても、雑誌のグラビアを見ていても、今の女優やタレントと呼ばれる女性たちには殆ど興味がわかない。何となく自分がいる世界とは全く別の世界に生きている人のようにしか感じられない。皆それなりに美人で、魅力的だ。しかしフランス語で言う 「point final / そこまで」 なのだ。それ以上でも、それ以下でもない。
そんな中で、唯一の例外が小雪だ。少し翳りのある彼女の表情からは、どこか懐かしい雰囲気が漂っている。以前にどこかで出会ったことがあるのだろうか。このDéjà-Vu / 既視感のような不思議な感覚は一体なんだろう。
だがブライアンやジミ、ジャニスたちは私がロックを聴き始めた頃に20代で若くして死んだ。ロック創世記のヒーローたちはワイルド・サイドを歩いていた時、死神に足元をすくわれたのだ。
ローリング・ストーンズは《悪魔を憐れむ歌》を歌っていた。
Rolling Stones, the / ザ・ローリング・ストーンズ
Beggars Banquet / べガーズ・バンケット
update 2004/03
時代とロック : 昭和の香り Part 2
時代とロック : 昭和の香り Part 3
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