2007年3月30日金曜日
Bossa Rio / ボサ・リオ
Bossa Rio / サン・ホセへの道
1969
大阪で万博が開催された中学3年生の頃、同じクラスのS野さんに一枚のシングル・レコードを借りた。
それは Bossa Rio / ボサ・リオの《サン・ホセへの道》だった。
ロック小僧だった私にとって、《サン・ホセへの道》のリズム感は新鮮だった。ボサ・ノヴァ独特のノリ、リズム感はロックに無いもので、即座に私はこのリズムの中毒になった。そしてそれは完治されることなく、中毒症状は今も続いている。多分、全治一生だろう・・・。
さて、ボサ・リオの魅力とは何か?
それは抜群のポップ・センスと軽やかなボサ・ノヴァのリズムが満喫出来るところにある。
彼らのオリジナル・ナンバーは無いが、ボサ・ノヴァやサンバの名曲だけではなく、ジャズのスタンダード・ナンバーからバート・バカラックやビートルズの名曲 まで見事にこなしてしまうアレンジ力には脱帽だ。そして紅一点のグラシーニャ・レポラーセとペリー・リベイロによるデュエットも素晴らしい。
まず、ボサ・リオのファースト・アルバム『Bossa Rio / サン・ホセへの道』について。
このバンドはセルジオ・メンデス&ブラジル’66の弟分のようなバンドで、マンフレッド・フェストをはじめ、ブラジルで主にジャズを演奏してきたミュージシャンたちが中心となって結成された。
このアルバムをリリースしたのは、1962年にハーブ・アルパートとジェリー・モスによって設立されたA&Mレコード。このレーベルはメキシコのマリアッチ をポップなアレンジで消化したハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラスを売り出す為に作られたようなもので、A&Mレコードとしてはメキシコ系サウン ドの次はブラジル系サウンドということで、セルジオ・メンデス&ブラジル’66を売り出し、そして弟分バンドのボサ・リオを、という流れになったのだろ う。
ついでに書いておくと、カーペンターズを売り出したのもA&Mレコード。
そんな背景から生まれてきたのが、このボサ・リオのファースト・アルバムだ。
《デイ・バイ・デイ》、《ビートでジャンプ》、《サン・ホセへの道》といったポップスの名曲やジャズのスタンダード・ナンバー《オールド・デヴィル・ムー ン》、そして《サイウバ》、《塩の詩》などブラジル風味溢れる曲や《波》、《ジェントル・レイン》などボサ・ノヴァの名曲がこのアルバムには収録されてい る。
次は、ボサ・リオのセカンド・アルバム『Alegria! / アレグリア!』について。
Alegria ! / アレグリア !
1970
セルジオ・メンデスの企画により、マンフレッド・フェストを筆頭とした実力派ブラジル人ミュージシャンによって、アメリカのポップ市場を狙って結成されたのがボサ・リオだ。そんな彼らの実力と魅力が開花、満載されているのがこの二作目だ。
このアルバムをリリースしたのは、Blue Thumb Records / ブルー・サム・レコード(直訳すると “青い親指録音” )で、まぁ、A&Mレコードの分家のようなレーベルだ。
ついでに書いておくと、このレーベルの共同設立者の一人にトミー・リピューマがいる。彼はその後、ジョージ・ベンソンやダイアナ・クラールを大いに売り出すことになる。
最初の三曲を聴けば、ボサ・リオの魅力がすぐに判る。
Blood Sweat & Tears の名曲、《スピニング・ホイール》はボサ・ノヴァの弾けるようなリズムにジャージーなピアノとオルガンが重なり、素晴らしくノリのいい曲に仕上がっている。
《ザズエイラ》は少し重く、ブラックでソウルフルなナンバー。サンバのうねるようなリズム感がたまらない。後半にはジャズっぽいトランペット・ソロまでついており、ブラジルのサンバとアメリカのジャズが見事に合体したボサ・リオらしい曲。
ちなみにこれはジョルジ・ベンの曲で、ボサ・リオはファースト・アルバムでは《サイウバ》、このアルバムでは《ホワット・ア・ピティー / ケ・ペーナ》とジョルジ・ベンの曲を三曲取り上げている。
そしてジャズのスタンダード、《ガール・トーク》はボサ・ノヴァ風味を軽くまぶせた、アダルトでムーディーなナンバーだ。
他にも楽しい曲が目白押しで、都会的でソフスティケイトされたセンスの良さとボサ・ノヴァやサンバの持つグルーヴ感が見事に融合されている。
私はこのレコードを中学3年生の時に購入し、今でも大切に保管している。しかしレコードプレーヤーが無く、ここ10年以上聴けなかった。それだけに本作がCD化されたのは本当に嬉しい限りだ。
※ ボサ・リオはEXPO’70 大阪万博開催時にセルジオ・メンデス&ブラジル’66と一緒に一度だけ来日している。万博でのライブを収録した『Bossa Rio Live In Japan』も早くCD化して欲しい。 このライブ盤も発売直後に購入し、長い間愛聴していた。しかし30年以上前、引越しの時に、父が何かと間違えて捨ててしまった。ああ残念・・・。
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