2000年11月15日水曜日
道場破り / スーパー・ノヴァ
子供の頃によく観たTV番組といえば、時代劇のチャンバラものがある。
そこによく出てくるのが道場破りのシーン。
いかにもコワモテの剣士が道場に乗り込んで、門下生を叩きのめす。
「この道場にはザコしかおらんのか~っ、道場の看板は頂いて帰るぞ~っ!」
ついに堪忍袋の緒が切れて、今にも道場破りに襲いかからんとする若い師範代をグッと押しとどめて、ついに師範が登場する。そして、ただならぬ雰囲気の中で二人は竹刀を交える…
時代劇だけではなく、プロレス団体の道場にも時々道場破りが現れるそうだ。
ちょっと腕に自信のあるアンチャンが、どうせプロレスなんか大した事はないと思い、無謀にもチャレンジしてくるらしい。
今は時々TVのバラエティ番組なんかに出演している藤原組長は、長年新日本プロレス所属で、道場主みたいな存在だった。藤原は猪木の付き人を長年勤め、カール・ゴッチに弟子入りしている。その実力は折り紙つきだ。
だから道場破りが現れても心配は無い。普通は若手が礼儀正しく、丁重にお迎えして、とことん痛めつけた後、お引取り願っていたらしい。
武道・格闘系のお仕事、道場運営は大変だなぁ。
一見道場破りとは無縁に見える音楽の世界にも道場破り的なヤツは存在している。
なんじゃ、このサウンドは!?
ウエイン・ショーターの《スーパー・ノヴァ》を聴いた時、これは道場破りが荒らしまくった録音に違いないと確信した。
メンバーは前もってショーターが選んでいるのだから、これは厳密に言うと道場破りではないが、まるで道場破りのようにあるミュージシャンが大暴れしている。これではリーダーのショーターも真っ青。自分の道場看板ならぬ自分のリーダー作看板が奪われてしまう。
大暴れしているのはミロスラフ・ヴィトウス。チェコ出身のベーシストだ。
鉛のようにへヴィーなリズムが強烈なボディ・ブローみたいに腹部に響く。
ん~ん、好きだなぁ、このベーシスト。
JAZZは新大陸・アメリカの象徴なのに、旧大陸、それもチェコからこんな道場破り的ベーシストが現れるとは…
ちなみに《スーパー・ノヴァ》には、もう一人道場破りがいる。その男はイギリスから飛来したギタリスト、ジョン・マクラフリン。こいつも出身は旧大陸系(厳密には島国系?)だ。
Wayne Shorter / ウエイン・ショーター
Super Nova / スーパー・ノヴァ
update 2000/11
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