2001年11月28日水曜日
鍋料理の時には避けるべきノリコさん
業務上、“クリエイティブ” な仕事に従事されている方々とのお付き合いが多い。
デザイナー、コピーライター、カメラマン、スタイリスト、ヘアメイク、そんな方々とのお付き合いが多い。
彼らが唸って唸って仕上げたモノの出来は数字的なスペックでその良し・悪しの判断を下せない。だから彼らの仕事の内容の評価基準はある意味で曖昧だ。
そんな評価基準が不明確なモノを創り出すのが生業の方々だから、作る前段階での自己主張は強い。
そうでないと自分のアイデアを現実化出来ないし、中途半端な ところで妥協するとつまらない仕上がりになる。そうなると本人の評価も落ちるし、仕事も来なくなる。だから制作物の方向性を決定してゆく過程では、あーで もない、こーでもないの連発で大変だが、それはそれで面白い。
人に何かを伝えることが制作上での主眼なのだから、こんなメッセージをこんな感じに、こんな風に伝えたい!という “熱いもの” がなければ務まらない仕事でもある。
だから性格的には血気盛んな方々が多い。
血気盛んなだけならいいが、大体こんな方々は同時に酒気も盛んだ。
コピーライターのノリコさんもご多分に漏れず、血気、酒気共に盛んである。
クライアントの前で大酒をくらい、からみ、大笑いしていても仕事がくるのはそのコピーの質なのか、はたまた、破天荒だが憎めない性格が幸いしたのか、そのあたりは不明だ。
空飛ぶうどん事件
それは同業者が集まる忘年会での出来事。
冬場の酒席だから出てくるのは鍋料理。ノリコさんはいつものようにビールをグビグビ飲んで、その後は日本酒をしこたま飲んだ。そして宴会場の人息や鍋の熱気が彼女を徐々に熱燗化する。本人こそ気付かないが大量に摂取されたアルコールは彼女の体内で暴走寸前の状態まで加熱されていた。
彼女の前に座っていたのは同年代の男性コピーライター。彼はグチリ酒で、運悪く頭の毛髪量がここ最近急激に少なくなり、それが悩みのタネだったらしい。そんなことをノリコさんの前でぶつくさぼやいてしまった。
数分後、まるで電子レンジの “チン!” みたいにその瞬間は突然訪れた。そう、十分に熱燗化した人間徳利状態のノリコさんは突如怒りだした。
いつものように軽々と一線を越えてしまった彼女は、「何をグジグジ言うてんのぉ~! 毛が無いんやったら、これでも頭に付けときぃ~!」と怒鳴るやいなや、鍋用のうどんを掴み、男の頭部めがけて投げつけた。
ねとねとしたうどんは毛髪量が少なくなった男の前頭部にペッタリとへばり付いてしまった。
楽しい歓談の場は一瞬にして静まりかえり、皆の視線は恐れと驚きと悲しみを漂わせる男の顔にくぎ付けになった。そして、その後・・・。
そんなノリコさんと一緒に仕事をすることが多い。その苦労と笑いと飲酒量はご想像におまかせする。
今年も忘年会の季節はそこまで来ている。
update 2001/11
つづき ・・・
鍋用のうどんを鷲掴み、それを相手の頭に投げつける。
強烈な荒技である。
ルー・テーズのバックドロップも、蝶野正洋のSTF(Step over Toe hold with Face lock)も、ピーター・アーツのハイキックも、ノリコさんの “必殺・鍋用うどん投げ” の前では幼稚園児のお遊びだ。
そんなノリコさん、サザン・ロックが大好き。
ねっとりと伸びるデュアン・オールマンのギター・サウンドがうどんのように感じられる。
幸か不幸か、最近ノリコさんと一緒に仕事をする機会は無い。
Allman Brothers Band / オールマン・ブラザース・バンド
At Fillmore East / フィルモア・イースト・ライヴ
update 2009/10/01
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