わがままなキーボード: Jimi Hendrix / ジミ・ヘンドリックス

Band Of Gypsys / バンド・オブ・ジプシーズ
1970

ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス解散後、ジミは『Band Of Gypsys / バンド・オブ・ジプシーズ』を結成する。メンバーはギターのジミとビリー・コックス（bass）、バディ・マイルス（drums）。前バンドと同様のトリオ構成だ。

そのバンド名を冠したこのアルバムはフィルモア・イーストでのニュー・イヤーズ・イヴ・コンサート69-70を収録している。ジミ生前にリリースされた唯一のライヴ・アルバムだ。

ジミの頭の中で鳴り響いている混沌とした音の塊がステージ上でのたうちまわる。それはロックという縛りから解放された、ファンクでブラックなテイストがたっぷり詰まったものだ。

映画『ウッドストック』では霊能力者のような風貌と雰囲気で降臨してきた魂をギターから絞り出すようなプイレをしていた。多分このフィルモア・イーストでのライブでも同様だったんだろう。しかしこんな凄いライブをしていると体がもたないだろうなぁ。

子供の頃は《Purple Haze》や《Hey Joe》、《Voodoo Child (slight return) 》といった分かりやすい曲が好きだった。しかし長生きしていると、このアルバムの凄みがヒシヒシと伝わってきた。ロックだけにとどまらず、これはある意味でブラック・ミュージックの集大成のような濃いアルバムだ。

当時マイルス・デイビスと共演する話もあったそうだ。しかし、そんなとんでもないセッションが実現する前に、1970年9月、ジミは死んでしまった。

残念、そして合掌。

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