2011年5月16日月曜日

Mcdonald and Giles / マクドナルド・アンド・ジャイルズ


Mcdonald and Giles / マクドナルド・アンド・ジャイルズ
1971

イアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズが彼女を連れた写真が使われている。

何の加工も施さず、写真をそのまま使っていたら、つまらんジャケットになっていただろう。

しかしピンク~パープル系のトーンで巧みに色調補正されたこの写真が醸し出す雰囲気は、マクドナルド・アンド・ジャイルズの音楽色調を巧みに表現している。

幻想的で牧歌的。
まるでのどかな田園風景のような雰囲気を湛えている。

二人がキング・クリムゾン脱退直後に制作したこのアルバムには、ロバート・フリップが嫌った “人を騙して惑わすような音楽” が満載されている。

キング・クリムゾンはエッジの鋭い硬質なサウンドを内蔵していたが、このアルバムから流れ出るのは、とても英国らしい、おだやかで陰りのある、フォーク、トラッド色の強いサウンドだ。プログレッシブ・ロック特有の緊張感や悲壮感はなく、ほのぼの感に満ちた心地良さを味わえる好アルバムに仕上がっている。

キング・クリムゾンから狂気的な激情を取り去り、穏やかな性格を注入すると、こんな感じのアルバムが仕上がるのだろう。

悪く言えば、去勢されたキング・クリムゾンのサウンド、良く言えば、まろやかに蒸留されたキング・クリムゾンのサウンドだ。

全ての曲は実に精緻に構成されていて、二人の抜群の演奏力で仕上げられている。

イアン・マクドナルドはマルチ・プレイヤーで、ギター、キーボード、そしてフルートやサックスなども演奏している。またマイケル・ジャイルズのドラミングも、いい意味で軽くて、歯切れがいい。

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