2010年12月1日水曜日

お気に入りの靴について


大阪の「食いだおれ」
京都の「着だおれ」
神戸の「履きだおれ」

私はMade in Osaka人だから「食いだおれ」的な嗜好を有している。
しかし同じ関西系でも京都の「着だおれ」的な嗜好はあまりない。
だが神戸の「履きだおれ」的な嗜好は少なからず有している。



『Sneakers / スニーカーズ』(1992年)という映画があった。

ロバート・レッドフォードが演じる主人公マーティン・ビショップはコンピューターのハッカーとして銀行などのサイトから金を巻き上げる詐欺を働いていた。運良く警察に手から逃れることができたビショップは、それから数年後、依頼人のビルへ秘かに侵入し、警備システムの不備をチェックするハイテク集団 “スニーカーズ” のリーダーに収まっていた。

ある日、アポイントも無しにある男が突然会社を訪れ、ビショップに面会を求めた。ビショップは部下にその男がどんな靴を履いているのか尋ねた。部下はニヤリと笑いながら答えた。 「上等だ!」 その一言でビショップは謎の訪問者と会うことを決めた・・・



男のオシャレの中で、靴は大切なポイントだと思う。だから今でも少しばかり靴にはこだわりがある。

フランスで仕事をしていた時以来、イギリスは Church's / チャーチの “Grafton / グラフトン” モデルがお気に入りだ。ダービー(外羽根)ウイングチップ型の靴で、フランスから日本に戻る前に購入したブラックとブラウン(Sandalwood)の2足を年に数回だけ履いている。

フランスには有名なJ.M.Weston / J.M. ウエストンの靴がある。ウエストンの靴にもフランス時代はお世話になった。愛用していたのはチャーチのグラフトンと良く似たダービー(外羽根)ウイングチップ型のモデル。

ウエストンの靴も丈夫で、チャーチより少しばかり洗練されたオーソドックスなデザインは捨てがたい。

この2社の靴を履き比べてみると、丈夫さではチャーチに軍配が上がる。

縫製、革の質などの点では、チャーチの方がずっとタフだ。フランスで仕事をしていた頃は、雨の日でも雪の日でも、ほぼ毎日履いて酷使したが、とにかくチャーチの靴は丈夫で長持ち。履けば履くほど風格が滲み出てきた。

使いこまれた丈夫な革製品だけが醸し出す深みのある色合いと上品なシワ。一緒に過ごした時間がしっかりと刻まれた靴の表情を見ているだけで暖かい気分になる。だからその靴が寿命を迎え、履けなくなった時は淋しい。

自分の顔にも深みのある表情がもてるような人生を送りたい。
自分の顔にもきれいなシワを刻めるような人生を送りたい。
優れた靴から学ぶことは少なくない。



しかしここ数年はチャーチを履く機会がめっきり減った。商業施設の館内装飾など、施工現場に立ち会うことが多くなったからだ。

当たり前だが、施工現場などでは踏まれたり、汚れたり、痛んでも落胆しない程度の安い靴を履くに限る。

エルヴィス・プレスリーの《Blue Suede Shoes / ブルー・スエード・シューズ》ではないが、

  オレの家を燃やしても、
  オレのいかした車を盗んでも、
  オレの酒をたっぷり飲んでも、
  何をしたって構わない。
  しかしオレの靴には近寄るな!
  オレのチャーチだけは踏むな!

作業現場を離れ、のんびり一日中書類にハンコを押すだけの閑職に就けたら、チャーチを再び履こう。

そしてハンコを押し疲れたら、気分転換に靴磨きでもしよう。

update 2010/12/01

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