2009年11月3日火曜日

James Brown / ジェームス・ブラウン


In the Jungle Groove / イン・ザ・ジャングル・グルーヴ
1969-1971

ジェームス・ブラウン(以下JB)の “基礎体温” はとてつもなく高い、と思っている。

あれだけパワフルでファンキーな歌を聴くと、どうしてもそう思ってしまう。

どこかで読んだ話しだが、JBが刑務所で “お勤め” している時、彼の独房の回りの囚人たちから妙な苦情が出たそうだ。なんでも真夜中、草木も眠る丑三つ時に、突然あの大声で、熱~く熱~く 「♪ ンーン、ゲロンパッ!」 ってな調子で歌い出すから、うるさくて仕方がなかったらしい。

本当の話かどうか、少し眉唾ものだが、JBの “基礎体温の高さ” を考えると、ついつい納得してしまう。

タダでJBのライブが聴けるのは確かに魅力的だ。しかし翌日も朝早く叩き起こされて、仕事が待ってる囚人たちには迷惑なだけだろう。

静けさや、耳に沁み入るファンク・ミュージック。



さて、『In the Jungle Groove / イン・ザ・ジャングル・グルーヴ』。

これはコンピレーション盤だが、JBはアルバム単位で音楽を完成さるタイプのミュージシャンではなく、どちらかと言うと一世代前のシングル盤の集合体としのアルバムをリリースするタイプのミュージシャンだからコンピレーション盤でもいいだろう。

収録されている曲が録音されたのは1969年~1971年だが、このコンピレーション盤が発売されたのは1986年。

JBはゴスペルやソウルから出発し、1960年代後半あたりからJBの音楽は後に “ファンク” と呼ばれるスタイルに変化する。

だから『In the Jungle Groove / イン・ザ・ジャングル・グルーヴ』に収録されている曲はJBがまさに変わりつつある時期の興味深い曲だ。

1966年 《It's a Man's Man's Man's World》
1967年 《Cold Sweat》
1968年 《I Got The Feelin'》

いずれも名曲だが、この辺りでJBのキャリアが終わっていたら、非常に優れた “大関クラス” のミュージシャン止まりだっただろう。

1969年 《It's a New Day》
1970年 《Get Up (I Feel Like Being Like A) Sex Machine》

しかしJBはこのあたりの曲を生み出し、そのスタイルを貫き、進化・深化させたことから、後に “ファンクの帝王” と崇め奉られるようになる。

『In the Jungle Groove / イン・ザ・ジャングル・グルーヴ』には “基礎体温” が高く、独特のリズム・パターンが強烈なグルーヴ感を生み出す《It's a New Day》などの “ファンクの経典・初版” がてんこ盛り状態で収録されている。

JBのアルバムを一枚といえば『Sex Machine / セックス・マシーン』を選ぶ方が多いだろうが、ジャケットのデザインの出来で、『In the Jungle Groove / イン・ザ・ジャングル・グルーヴ』を選んだ次第。

かつて “お勤め” していた刑務所のゴミの掃き溜めみたいなところに、ぽつねんと座っているJB。

味わい深い、いい写真だなぁ。

And More...

ノリノリで荒々しいライブが聴きたい方には『Love Power Peace Live At The Olympia Paris 1971』を強くお奨めします。これほどテンションの高い音楽、滅多にありませんから。

ちなみにこのアルバム、世に出たのは1992年。どういう訳か、長らくお蔵入りになっていた。

あまりの出来で、他のCDが売れなくなると困るので、レーベルが自主規制したのだろうか?


Love Power Peace Live At The Olympia Paris 1971 / ライヴ・イン・パリ ’71

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