2004年8月15日日曜日
山手線は外国への入口 / ウーマン・フロム・トーキョー
最近、東京出張が多い。
新大阪駅から新幹線に乗り込み、約3時間程うとうと眠ると東京駅に着く。さあ、そろそろ乗車券と一緒にパスポートを用意しておかないと・・・。
駅構内の金属探知機を通って税関へと進む。一泊二日のビジネス出張だから荷物も少なく、申告するものは何も無い。手荷物検査も一発パスだ。しかし最近は東京駅の税関にも麻薬探知犬や火薬探査犬がやたらと増えたような気がする。
そんなこんなで無事に入国手続きを終え、国内線トランジット用の地下通路を通って山手線のホームへ移動する。
そこはもう外国だ。
自分にとって東京は外国である。
外国というと言葉が違い、人種も違う所だという先入観がある。しかし例えばイギリス人にとってアメリカは立派な(?)外国なのと同じような感覚で、大阪人の自分にとって東京は外国なのだ。
言葉や人々の雰囲気の違いは表面的なものだ。しかし自分が東京を外国だと感じるのは、多分そこから放たれる“磁力”を感じているからだろう。それは異なる文化圏の深遠部から生まれるもので、その磁場に踏み込むとちょっとした焦燥感と高揚感が生じる。それは海外で度々感じた感覚と同じものだ。
間違ってもらうと困るが、だから東京が好きだとか嫌いだとか言っている訳ではない。自分と同じ様に見えても異なる文化圏に属している人は大勢いる。それを理解しておくと無用なトラブルも事前に回避出来るし、腹を立てることも少なくなる。
人間は皆同じではないから面白い。
山手線の異邦人
そんなことをぼんやり考えながら女性の乗客を眺める。大阪の女性と比べてファッション感覚は、よく言えばシック、悪く言えば地味だなぁ。
すると頭の中で小刻みなシンバルとバス・ドラムのリズムが響きだす。それにリッチー・ブラックモアの引っかくようなギターのリフが重なり、テーマへと続く。
ディープ・パープルのポップなナンバー、《Woman From Tokyo / ウーマン・フロム・トーキョー》が始まる。
1970年、初めて『イン・ロック』の《スピード・キング》を聴いた時にはブッ飛んだ。ノイジーで歪み、疾走感溢れるギター。ハイトーンで脳天から突き抜けるようなヴォーカル。その硬質な音の塊は中学3年生のニキビ小僧をビビらせた。
その後にリリースされた『ファイヤーボール』や『マシン・ヘッド』からは残念ながら滅茶苦茶なノリが消えてしまった。シンプルで憶えやすいメロディとリフを中心に据えた曲構成が多くなり、それは一つの “ハードロック様式” として確立された。《ウーマン・フロム・トーキョー》はそんな時期のヒット曲だ。
頭の中で鳴り響くパープル・サウンドを楽しみながら外の街並みを眺めていると、突如聞きなれた大阪弁が飛び込んでくる。「あのなぁ~・・・ 」、「それでなぁ~ ・・・」。 大阪人が山手線の中で大きな声で話をしているのだ。
外国で同胞に出会うと少し気恥ずかしいが、反面少しホッとするのも事実だ。
Deep Purple / ディープ・パープル
Who Do We Think We Are / 紫の肖像
update 2004/08
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