2001年7月15日日曜日

父親の仕事 / ドント・スタート・ミー・トゥ・トーキン


祝日にクーラーを取付けてもらった。

新品ではなく、姪が使っていた中古のクーラーだ。姪は一人暮らしをしていたが、仕事の都合で実家に戻り、その際、不要になったクーラーを譲り受けた。

それを取付けたのは、同じマンションに住むSさん。

Sさんはクーラーの取付けが本職ではなく、他の仕事をしている。しかしクーラーぐらいなら簡単に取付けられるらしく、お願いする事になった。同じマンションに住み、 嫁さん同士が仲良くてもタダでは悪いので、Sさんには缶ビール1ケース、Sさんの奥さんにはシャンペンを1本、プレゼントすることにした。

暑い中、汗をタラタラ流しながら几帳面に、丁寧に、そして的確に作業を進めるSさん。私は何もせずに眺めているだけだが、それでも額に汗が滲んでくる。

作業が一段落した時、どこでクーラーの取付け方を覚えたのか聞いてみた。

Sさんのお父さんは電気機材関係の事業をされていて、学生時代にお父さんの仕事を手伝っている時に覚えたという。



私の父親は結構いい大学を卒業した。

研究者として大学に残る道もあったそうだが、結局は卒業後、サラリーマン(当時の言い方では月給取り)として働き始めた。

しかし、学生運動の経歴と頑固で融通の利かない性格が災いして、職を転々とし、最後には自分で防水剤販売の会社を興した。

防水剤といっても色々あるが父親が販売していたのはビルやマンションの屋根に塗装するウレタン系の防水剤だった。

自分が屋根に登って防水剤を塗る事は殆ど無かったが、暑い夏になると塗装作業を請け負う職人さん達もさすがにバテる。 そうなると工事も進まず、売上げも少し落ち込む。そして私にお鉢が回り、バテた職人さんの代わりに現場作業を手伝う事になる。

夏の野外作業だから暑い。それに屋上だから日陰が無い。化学塗料を扱う訳だが臭い。いやはや難儀な仕事だったが、 塗装技術だけは少しずつ上達した。




汗だくでクーラーを取付けているSさんを見て、父親の仕事を手伝っていた時の事を思い出した。

古代からつい最近まで、子供は父親の仕事を見て覚え、受け継いできたんだなぁ~、と文化人類学・伝承講座的な事を思った。



説明させてくれ



説明する必要は無い。一度ソニー・ボーイ・ウイリアムソンのブルースを聴けば誰でも気に入ると思う。

騙されたと思って、『ダウン・アンド・アウト・ブルース』を聴いてみてほしい。

《Don't start me to talkin'》、《Fattening frogs for snakes》、《Let me explain》、 どの曲も適度にアップテンポで、ソニー・ボーイのしわがれたコクのあるヴォーカルとブルース・ハーモニカが楽しめる。

音もあまり洗練されておらず、程よくカントリー・フレイバーが残っている。野良仕事の後の一曲みたいな感じで、好きなんだな、ソニー・ボーイのブルース。

ブルースは音楽の頑固親父みないな存在で、そこからジャズやロックが生まれた。

子供達は父親の音楽を聴いて覚え、受け継いで、新しい音を作り出した。


Sonny Boy Williamson II / ソニー・ボーイ・ウイリアムソン II
Down And Out Blues / ダウン・アンド・アウト・ブルース

update 2001/07

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