Gary Peacock / ゲイリー・ピーコック

Tales Of Another / テイルズ・オブ・アナザー
1977

数年経ってからそのアルバムの意義が判ることがある。

このアルバムもそんな一枚で、キース・ジャレットが “スタンダーズ” を結成してから、「そ～か、このアルバムが事の始まりやったんや・・・」と気づいた。

正直言って私はピアノ・トリオというのが少し苦手だ。やっぱりジャズには管楽器が入っていないと物足りない。トランペットのぶふぁ～、サックスのぼばぁ～という音が無いと寂しいのだ。

しかしベースは大好きで、♪ ぼぼん・ぼんぼ～～ん ♪ という音が聴こえてくるだけで嬉しくなる。

このアルバムもリーダーがゲイリー・ピーコックだから買った。それにパウル・クレー風のモダンな落ちついたジャケット・デザインもいい。

ゲ イリー・ピーコック、キース・ジャレット、ジャック・ディジョネットが三つ巴で、お互いに相手の出方を探りながら展開する緊張感たっぷりの神経戦がたまら ん。しかしこれは一体誰のリーダー作なのかと思ってしまう程、ゲイリー・ピーコックは控え目だ。そんなところが少し残念。もっとガツンと行かんかい！　

と ころでキース・ジャレットの唸り声は何とかならんか？唸るのは自分のソロ・アルバムだけにしとかんかい！

刺激的だがリリカル。秋の長夜に聴くにはいいアルバムだ。