2004年8月20日金曜日

Bill Evans / ビル・エヴァンス


Sunday at The Village Vanguard / サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード
1961

ビル・エヴァンスは誤解されている。

白人でインテリっぽいルックス、そしてスリムな姿に落ち着いた雰囲気。それはまるで優良外資系企業の上級管理職のようだ。

それにビル・エヴァンスはピアニストだ。汗臭いサックスやトランペットではない。また裏方さん的なベースやドラムでもない。

小洒落たジャケット・デザインの『ワルツ・フォー・デビイ』は、ジャズの名盤入門・紹介関連本に、お薦めアルバムとして必ず取り上げられている。

そんな訳で、ビル・エヴァンスはなんとなくソフトなミュージュシャンだと思われているようだ。だから女性層の支持率は高い。

だがビル・エヴァンスの実体はそんなものではない。

エヴァンスのピアノにはしっかり一本の筋が通っている。建築的に表現すると、ビル・エヴァンスの音楽は鉄筋コンクリートのようにしっかりしていて、ハードボイルドなのだ。『ポートレイト・イン・ジャズ』、『ワルツ・フォー・デビイ』、『サンデー・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』、『エクスプロレーションズ』の4枚をちゃんと聴けばそれは判る。

上記の4枚はスコット・ラファロのベース、ポール・モチアンのドラム、そしてビル・エヴァンスのトリオ編成で収録されている。才能溢れるスコットは残念ながら61年7月に交通事故で死亡する。

三人がぶつかり合うインタープレイからはダイヤモンドの破片のように硬質で輝くサウンドが辺り一面に飛び散る。表面的には優しく聴こえるサウンドの裏側ではエヴァンスとラファロのバトルが繰り広げられている。優良外資系企業の上級管理職は一見優しそうだが、本当はドライでタフな切れ者なのだ。

あえて『サンデー・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』を選んだのはスコット・ラファロのベースが堪能出来るからだ。《Gloria's Step》 のビッシ・バッシ響くベースを聴くのだ。素晴らしい敵と対峙した時、ビル・エヴァンスの腕は冴え渡る。

And More...


Portrait in Jazz / ポートレイト・イン・ジャズ


Explorations / エクスプロレイションズ


Waltz For Debby / ワルツ・フォー・デビイ


The Complete Village Vanguard Recordings 1961 /
ザ・コンプリート・ヴィレッジ・ヴァンガード・レコーディングス 1961


Moon Beams / ムーンビームス


At The Montreux Jazz Festival /
モントゥルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス


The Bill Evans Album / ザ・ビル・エヴァンス・アルバム


You Must Believe In Spring / ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング

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