2004年4月30日金曜日

Big Brother & The Holding Co. / ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニー


Cheap Thrills / チープ・スリル
1968

このアルバムがリリースされる前年のモントレー・ポップ・フェスティバルでジャニス・ジョプリンは大暴れし、一躍注目を浴びることになる。

そしてその伝説的なステージがどんなものだったかは、このアルバムからある程度は想像することができる。ここでもジャニス・ジョプリンは大暴れしているからだ。

ジャニスが主役のこのアルバムでは、当時のサン・フランシスコのサイケ風のサウンドと、そんなものお構い無しに歌いまくるジャニスの豪快磊落で繊細メロメロなヴォーカルが堪能できる。

私が初めてジャニスを聴いたのはこのアルバムからだ。当時中学3年生だった私にとって、ジャニスの潰れたようなハスキー・ヴォイスは衝撃的だった。女性歌手 = 爽やかな声という固定観念があったからだ。

しかしジャニスはそんな日本の中学3年生を無視し、腹の底から搾り出すような潰れた声で歌いたおす。その迫力はビルを踏み潰し、放射能光線で街を破壊するキング・オブ・モンスター、ゴジラ並みだった。

さてバンドのBig Brother & The Holding Co.だが、彼らに大した力量はない。今聴くと、かなり安っぽく感じてしまう。しかしながらとことん歪んだノイジーなギターサウンドはある意味で当時のサイケデリック・サウンドのサンプルのようだ。

男は黙って《Summertime》と《Ball and Chain》を聴くべし。

ブルース風のヴォーカル+オーティス・レディング風R&Bスタイルのヴォーカルを基盤に据えたジャニスのスタイルはたまらん。

アメリカン・コミック風のジャケット・デザインも良し。

ちなみにバンド名の“Big Brother”はイギリスの作家、ジョージ・オーウェルのディストピア(反ユートピア)系小説の『1984年』から。

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