2010年4月25日日曜日
穏やかなブルックナーの交響曲全集を聴く
ストレスから少し開放され、なんとなく気持ちがゆったりしてきたので、ふぁ~っと気持ちが開放されるような、穏やかな音楽が聴きたくなった。
そんな訳で、ロベルト・パーテルノストロ指揮 / ロイトリンゲン・ヴュルッテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団によるブルックナー交響曲全集を、ここ最近飽きもせずに何度も聴いている。
この交響曲全集は17世紀に建てられたドイツ南部の大聖堂、ヴァインガルテン・バジリカで、1997年から2006年にかけてライヴ録音されたもの。大聖堂で録音されただけに豊かな残響が味わえる。
信心深いカトリック教徒であった Anton Bruckner / アントン・ブルックナー (1824 - 1896) が残した交響曲は、その壮大で重厚な音の響きと広がりから、宗教的な陶酔感と恍惚感溢れた音楽として崇められているようだ。
※ かなり大袈裟な表現です。
※ ブルーノ・ワルターはマーラーとブルックナーの違いについて 「マーラーは神を探し求めた。ブルックナーは神を見た。」 と述べているが・・・ これまた大袈裟です。
しかし私はブルックナーの交響曲から高度な “宗教(カトリック)度” をあまり感じない。
“宗教(カトリック)度” よりもプリミティヴな “アニミズム度” が高くて、例えれば森の奥から零れ出てくる “森の精霊” の囁きと叫びのように聴こえる。
私の場合、パーテルノストロが指揮するブルックナーの交響曲から聴こえてくるのは、鎮守の森の木漏れ日の向こう側から流れ出てくる、穏やかな “森の精霊” の声だ。
大好きな 《交響曲第7番ホ長調》 は、暖かい春の日溜まりが溢れる神社の縁側に猫チャンと一緒にごろっと横になりながら、のんびり聴くには最高の出来。
ブルックナーの音楽に、まるで大伽藍のような構築美を求める方には不向きな交響曲全集だ。しかし厳粛で壮麗なブルックナーではないが、こんな穏やかなブルックナーがあってもいいだろう。
お見事な演奏力を求め、些細な演奏ミスも気になり、許せない方にも不向きな交響曲全集だ。腕の立つ超一流オーケストラではないし、この交響曲全集は全てライブでの一発録音なのだから。
また、金管楽器群のド派手で強烈なファンファーレがお好きな方にも不向きな交響曲全集だ。残響音が長い石造建築でのライブ録音だけに、金管楽器はかなり抑え気味に演奏されている。
そして有名な指揮者で聴きたいブランド志向の方には全く不向きな交響曲全集だ。
しかし深刻な面持ちで、まるでロダンの『考える人』のように、ブルックナーを聴くのは堅苦しく、肩の凝らないブルックナーをお求めの方には、かなりオススメの “なごみ系” 交響曲全集だ。
そして懐具合は厳しいが、ブルックナーの交響曲をまとめて聴いてみたいと思っている方には、とてもオススメの交響曲全集だ。CD11枚組だが、何と1,700円程度で購入出来るのだから。
ブルックナー交響曲全集
Roberto Paternostro / ロベルト・パーテルノストロ
Wurttembergische Philharmonie Reutlingen /
ロイトリンゲン・ヴュルッテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団
update 2010/04/25
ラベル:
音楽
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