2004年10月10日日曜日

Wagner, Richard / リヒャルト・ワーグナー


Wagner, Richard1813-1888

ワーグナーでクラシック音楽は一つの終わりを迎えたような気がする。

絵画においてルネッサンス以来続いていた遠近法による伝統的な空間表現に終止符を打ち、新しい造形空間を創り出したエドゥアール・マネ(1832-1883)はワーグナーとほぼ同時代を生きている。

マネ以降の絵画がより感覚的で分析的になったように、ワーグナー以降の音楽、例えばドビュッシーやラヴェル、ストラヴィンスキーの音楽はワーグナー以前の音楽とは異質で別物だ。

ワーグナーの作品は一つの分岐点なのだろうか。



Orchesterwerke / 管弦楽曲集

Otto Klemperer / オットー・クレンペラー
The Philharmonia Orchestra / フィルハーモニア管弦楽団
rec. 1960


Herbert von Karajan / ヘルベルト・フォン・カラヤン
Berliner Philharmoniker / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
rec. 1974


Klaus Tennstedt / クラウス・テンシュテット
Berliner Philharmoniker / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
rec. 1980-1983

熱心なワグネリアンではないので、べらぼうに長い歌劇や楽劇に付き合うのは難儀だ。他にもする事があるのだから管弦楽曲集程度で勘弁してほしい。

バッハやモーツァルト、ベートーヴェンに続いて重厚で雄大な指揮を誇るオットー・クレンペラーに再び登場していただいた。いかにもドイツらしい仕上げのワーグナーだ。

ヘルベルト・フォン・カラヤン盤は、いつものように流れるように滑らかで柔らか。クレンペラー盤とは正反対のテイスト。しかし何より録音が素晴らしい。

クレンペラー盤が少し重たく感じられ時、カラヤン盤では物足りない時は、こちらもドイツらしいが、もう少しモダンなクラウス・テンシュテット盤を聴こう。オケの鳴らし方はお見事。



Tristan und Isolde / トリスタンとイゾルデ


Carlos Kleiber / カルロス・クライバー
Staatskapelle Dresden / シュターツカペレ・ドレスデン
rec. 1980-1982

どうしてもオペラ一つ選べと言われれば、本作。《トリスタンとイゾルデ》を選ぶ。作品全体を支配する静謐感がたまらない。

“トリスタン和音” とか、“和声の危機” とか言われても、音楽理論に関する知識は全く無いので、それらがどのような重要性を含んでいるのか、判らない。このあたりの知識があれば、もっと楽しめるのかもしれないが・・・。

しかしいくら音楽理論が判ったとしても、こんな大作は数年に1度しか全曲を通して聴けないだろう。

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