上田正樹 & サウス・トゥ・サウス

この熱い魂を伝えたいんや
1975

「行ってええか？」、「行こか！」、「誰を呼ぶねん！」

こんな威勢のいい掛け声から、ご機嫌なライブが始まる。

このアルバムは1975年9月に芦屋ルナ・ホールで収録されたもの。

《オープニング（サウス・トゥ・サウス）》の冒頭の部分だけで、ぐっと聴くもののハートを鷲掴みにしてしまう。

この勢いはノリノリで楽しい《Ooh Poo Pah Doo / ウ・プ・パ・ドゥ》へとなだれ込む。

歌のところどころに入る “喋り” の部分は関西系の人独特のサービス精神が溢れ、カッコをつける関東系の人にはなかなか出せない味。ソウルフルでファンキーな雰囲気とよく合うし、これが楽しいんだなぁ。それと観客からの “返し” も、これまた絶妙。

確かに何でも器用に演奏する今のミュージシャンと比べると、ちょっと学祭のアマチュアバンドのようなところもあるが、その辺りは許してやりたい。

ソウルフルでファンキーなアップ系のナンバーから、しっとり系のバラードまで、老朋友、有山淳司やクンチョーたちにサポートされながら上田正樹は熱く歌いきる。

「アンタの熱い魂、確かに伝わってまっせ！」

そして私の大好きなナンバー《むかでの錦三》、Ray Charles / レイ・チャールズの世界遺産的名曲《Georgia On My Mind / わが心のジョージア》、重要文化財的名曲、Otis Redding / オーティス・レディングの《I Can't Turn You Loose / お前を離さない》と続くラストの怒涛の三曲が素晴らしい。

そして最後に観客の一言、「もっとやれ～～っ！」

そう、もっと続きを聴きたくなる好アルバム。

※ 家人や隣人に迷惑がかからない程度に、出来るだけヴォリームを上げて聴くことをお奨めします。