2004年9月20日月曜日

Wayne Shorter / ウエイン・ショーター


Super Nova / スーパー・ノヴァ
1969

病気には潜伏期間と発症期間がある。

ひそかに体内に潜伏していた病原菌はむずむずと活動を始め、ついには宿主の身体に破壊的な影響を与えるのだ。

ショーター菌は60年代半ばから活動を開始し、マイルス・デイヴィス・クインテッドでその菌の活動は顕著なものになり、クインテッドから脱退する頃には新型病原体と広く認知される。

だからウエイン・ショーターの一番面白い時期は、ショーター菌が発病期に向けて活性化し始めた頃だ。

『Night Dreamer』や『Ju Ju』、『Speak No Evil』などを経て、その菌は増殖を続ける。

なんとなくメランコリックな憂いを含んだ独特のメロディーが支配する “黒魔術風” 新主流派的音楽菌が少しずつ成長・増殖してゆく過程が面白いのだ。そして本作『Super Nova』でその病原菌の猛威は白日の下にさらけ出され、恐るべき菌の全貌があらわにされる。

この時期にショーターがブルーノートに残した作品はどれも素晴らしいが、分裂・炸裂のピークを迎えた音楽菌と共に別世界へ確実に一歩踏み込んだ感のある『Super Nova』がイチオシだ。おいおい、お前はここから何処へ行くんじゃ!と尋ねたくなるような魅力溢れる混沌とした音楽空間が広がっている。

しかしショーター菌の活発な繁殖もここまでで、ウエザー・リポート期には新たなザヴィヌル菌と結合することで延命することになる。

それ以降、ショーター菌が生み出したものは『Native Dancer』程度で、かつての毒素も繁殖力も無く、人畜無害なものに退化している。ミルトン・ナシミエント菌に操られているのが哀れ。

And More...


Night Dreamer / ナイト・ドリーマー


JuJu / ジュジュ


Speak No Evil / スピーク・ノー・イーヴル

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