
Bitches Brew / ビッチェズ・ブリュー
1969
そりゃ50年代半ばの作品だって選びたい。
ジョン・コルトレーンやポール・チェンバース、レッド・ガーランド達と組んだクインテットの作品だって素晴らしい。
そりゃ60年代半ばの作品だって選びたい。
ウエイン・ショーターやトニー・ウイリアムス、ハービー・ハンコック達と組んだクインテットの作品だって素晴らしい。
しかし私にとって、マイルスといえばコレ。
圧倒的な音とリズムの複合体である『ビッチェズ・ブリュー』を迷わず選び、《Spanish Key》 を聴くのだ。他の曲もいいが、とにかく騙されたと思って《Spanish Key》だけでも聴いてみてほしい。
壮大に響き渡るマイルスのトランペットはまるで来世から流れ出てきた黄金色の音だ。
その後ろにはザックザックと空間を切り刻むジョン・マクラフリンのギター、辺り一面に弾けまくるジョー・サヴィヌルとチック・コレアのエレクトリック・ピアノ。これらの音と比べると、マイルスが吹くトランペットの音が原始的に聴こえてくるから不思議だ。
私が《Spanish Key》が大好きなのは、ジョン・マクラフリンの暴れっぷりが見事だからだ。
分厚く攻撃的なポリリズムの氾濫の中で、ジョン・マクラフリンは溢れ出てくる音の塊を問答無用、バッサバッサとギターで叩き切る。その鋭い切れ味とド迫力は『ジャック・ジョンソン』の《Right Off》でも満喫出来るぞ。
しかしここまで上手にジョン・マクラフリンを暴れさせるマイルスのリーダー・シップも凄い。
こんな演奏を聴くと、やれジャズはアコースティックだ、エレクトリックは邪道だ、なんていう意見や議論が阿呆らしくなる。それでも判らぬ輩はジョン・マクラフリンのギターで切り捨て御免だ。
『ビッチェズ・ブリュー』ではジャズを聴くのではない。
『ビッチェズ・ブリュー』ではマイルスを聴くのだ。
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