2004年9月10日金曜日

John McLaughlin / ジョン・マクラフリン


Passion Grace & Fire / パッション, グレイス & ファイア ~ 情炎
1983

ジョン・マクラフリンは名助演男優なのだ。

マイルス・デイヴィスの『Bitches Brew』、ウエイン・ショーターの『Super Nova』、ミロスラフ・ヴィトウスの『Infinite Search』など、マクラフリンが主演男優を食ってしまう程の名パフォーマンスを発揮したアルバムは多数ある。

ある日、マクラフリンは主演男優になった。

助演でここまでやるなら、主演に据えるともっと凄いことをやるだろうと誰もが思った。そしてマクラフリンはマハ ヴィシュヌ・オーケストラというバンドを組んで、『Inner Mounting Flame』や『Birds of Fire』なんかを制作した。

しかし根っからの助演男優タイプだけに、マクラフリンを主演男優に据えた企画はそれほど成功しなかった。

マクラフリンは噛みつくべき主演男優がいなくては実力が発揮出来ないのか、それともお気楽な助演の方が緊張せずにのびのび演奏出来るのか、どうもその辺りは不明だ。

しかし主演男優になってから、マクラフリンはあの尋常ならぬ緊張感を失ってしまった。ズバ、ズバ~ッと空間を切り裂く妖刀のような凄みのあるギター・リフは一体何処へ行ったのだ!?

確かに『Inner Mounting Flame』はジャズ・ロック系のレコードとしては良い出来だ。しかしながら怒涛のテクニック合戦的なアルバムで、肝心の音楽的な色気・妖気が欠けている。

完全に失速してしまったマクラフリンを見かねて、同業のアル・ディメオラとパコ・デ・ルシアが救済の手を差し伸べた。「アコースティック・ギターだけでオレ達とつるまないか? 主演、助演関係なく、三人でやろうや」みたいな感じで、かつての名ギタリストを二人は口説いた。

そんな訳で、これはマクラフリン救済プロジェクトから生まれたアルバムであり、名ギタリスト三人衆が作り出したものは音楽におけるラーメン・ギョーザ・ チャーハンの三点セットのようなものだ。バッキバキ~ンと鳴り響く三人三様の美味しいアコースティック・ギターを堪能するのだ。

しかし主演男優の重圧から解放された時、マクラフリンはいいギターを弾くなぁ。

And More...


Jack Johnson / ジャック・ジョンソン

※ このマイルス・デイヴィスのアルバムでのジョン・マクラフリンのプレイは凄い!

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