2004年8月30日月曜日

Eumir Deodato / エミール・デオダート


Prelude / ツァラトゥストラはかく語りき
1972

これは推測だ。

多分ポルトガル語、そのルーツであるラテン語で、“Deodato / デオダート” とは “神、与えたもの” というような意味があるはずだ。

デオダートが神から何を与えられたのか、ひょっとして反対に神に何を与えたのかは分からん。しかしもしもそんな意味が本当にあるのなら、これこそ神を恐れぬ名前だ。

さて、このフュージョンの夜明け的なアルバム、『Prelude』とは前奏曲の意味だ。はたしてこれは来るべきフュージョン時代の前奏曲という意味で名付けられたのか?

「神から与えられた才能を駆使してジャズの新時代、フュージョンの扉を開くのがオレだ」とでもデオダートは言いたいのかもしれない。そしてアルバムの一曲目の素材に選んだのがR・シュトラウスの《ツァラトゥストラかく語りき》とくるのだから、これまたとんでもない。

「神は死んだ」と言い切ったニーチェの著作からうまれたR・シュトラウスの曲を使うあたり、デオダートの一連の行動には確信犯的な臭いがする。

そんな硬い事を考えながら《ツァラトゥストラかく語りき》を聴いても面白くない。この破廉恥な曲とアルバム全体を楽しむには頭を空っぽにするべし。

ジャズ、クラシックにポップなボサ・ノヴァ風味を加え、見事なアレンジで締め括った名アルバムなのだ。

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