2000年10月24日火曜日
幼年期の終り / 『ウエスト・サイド物語』
子供の頃に観た映画といえば、ゴジラ、ガメラの怪獣モノか、アニメ程度だった。
洋画を観るようになったのは1960年代後半で、小学生・高学年の頃か、中学生になっていた頃だったのかは定かでない。
映画を観ると言っても、映画館で観るのではなく、テレビでテレビ朝日系列の日曜洋画劇場を観るのが関の山だった。当時はレナウンがスポンサーで、映画の記憶と共に「レ~ナウ~ン、レナウン娘が …、」みたいなフレーズのCMも良く憶えている。
日曜洋画劇場が開始されたのが1966年10月だから、小学生・高学年の頃からではないかと今では思う。
ジョン・ウェインの西部劇や『イヴの総て』みたいな名作と呼ばれる作品も沢山観たような記憶がある。
十分楽しめたが、やはり古い映画が多く、自分の生活と重ねて観るような、つまりテーマや内容が身近に感じられる様な映画は無かった。
それと、当時の我が家のテレビはまだ白黒だった。
中学2年の夏に引越した。
当時の状況に関しては 「ロックの師匠」 に詳しく記した。
引越先の中学校で出会った友人の一人にN-BU君がいた。私と同時期に転校してきたN-BU君は映画『ウエスト・サイド物語』に熱中していた。
日曜洋画劇場を欠かさず観ていただけあって、映画は好きだった。だからN-BU君に感化されるのにそれほど時間はかからなかった。
そして『ウエスト・サイド物語』を難波の映画館まで観に行くことを決めた。初回から観てやろうと、かなり早めに家を出たのを覚えている。
それは初めて映画館で観る洋画だった。それはテレビみたいに吹替えではなく、初めて体験する字幕スーパーだった。
ポケットに入れたお金を何度も確認し、緊張しながら早足で映画館へ向かった。
スクリーン上に無数の縦のストライプが現われ、音楽が突如鳴り響く。
メロディと共にスクリーンの色調が変わる。そして音楽のエンディングが近づくにつれて縦のストライプは後退し、スクリーンの下に WEST SIDE STORY の文字が現れる。
縦のストライプはニュー・ヨークのマンハッタン島に一変し、 音楽が消え、口笛だけが聞こえてくる。
そして物語が始まる・・・
Break on Through to the Other Side !
試合開始早々から猛烈なジャブを食らった。そしてコーナーに追い詰められ連打を浴びているような状態だった。無数のパンチが今までの世界を、今までの自分を粉砕していく。
この映画を観る前と観た後では確実に自分が変わっていた。
ダンス・シーンも確かに圧倒的だったが、何よりもレナード・バーンスタインの音楽と主演女優、ナタリー・ウッドの美しさのインパクトが強烈だった。
当時の少ない小遣いを前借してサウンドトラック盤を買った。そしてレナード・バーンスタインの音楽は後に出会うロック、ジャズ、クラシックを聴く上でのベースとなった。
ナタリー・ウッドは思春期の小僧にとって女性美の象徴(今でも変らない!)となった。
一生を左右する出来事は何の前触れも無く、ある日突然やってきた。
update 2000/10
つづき ・・・
中学2年生の時に、生まれて初めて買ったLPがこの『ウエスト・サイド物語』のサウンドトラック版。
今までに何百回聴いただろうか。
ジャケットやライナーノーツはボロボロだが、宝物のように大切に持っている。
今では作曲したレナード・バーンスタイン自らが指揮し、キリ・テ・カナワやホセ・カレーラスが歌うオペラ風味の『ウエスト・サイド物語』もある。
クラシック好きの方なら、こちらもそれなりに十分楽しめます。市販されていないようだが、この録音のメーキング編は凄く面白い!
West Side Story / ウエスト・サイド物語 / サウンドトラック版
Leonard Bernstein Conducts West Side Story
update 2009/09/30
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