Anita O'day / アニタ・オデイ

Anita O'day Live in Tokyo / アニタ・オデイ・ライブ・イン・トーキョー
1975

アニタといえば『Anita』か『Sings The Most』が定番ということになる。

ビッグバンドをバックに歌うエレガントな『Anita』も捨てがたい。オスカー・ピーターソン率いるトリオをバックに歌う『Sings The Most』も小粋だ。

しかしここで選んだのはアニタ晩年の、いソノてルヲのMCから始まる、東京でのライブ。

このアルバムでは《Wave》や《A Song for You》などのポップ・ナンバーから《Honeysuckle Rose》といったアニタの定番までたっぷり楽しむことが出来る。それにライブならではのアニタのお喋りもちゃんと収録されているのが嬉しい。

それにしてもアニタの醸し出す貫禄はすごいなぁ。まるでマフィアの女性幹部だ（失礼！）。

アニタのボーカルはヘタウマの代表みたいなもので、声楽的にはどうしようもない歌い方だ。それにとりわけ声量があるわけでもない。

だがそこが彼女の持ち味、 セールス・ポイントなのだ。それはテクニックの上手・下手より大切なもので、それを一つのスタイルとして確立すると誰にも真似の出来ない独自の魅力とな る。ハスキーヴォイスで少し苦しそうに歌うアニタを聴くと、独自のスタイルを持つことの大切さがよく分かる。

このアニタ独自のスタイルは、パワフル＆テクニカルなエラ・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーンのスタイルより、ずっとジャージーな雰囲気を醸し出している。

歌うために声帯を楽器として扱うのではなく、歌を “語り” の延長として扱うアニタのスタイルは大のお気に入りだ。

アニタの語り口調姉御肌ジャズ・ヴォーカルをご堪能あれ。

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