2011年8月12日金曜日

歌ってくれ、ルシール・・・ / B.B.キング



B.B.キングのアルバムで評価の高いものと言えば、名作『The Jungle』と共に、1964年11月21日シカゴのリーガル劇場での演奏を収録した『Live at the Regal』が挙げられる。

40歳を目前に控えて、B.B.キングがブルースマンとしてのピークを迎えていた時期の演奏を捉えたものだけに、伸びのあるギター、こってりとした艶のあるボーカルが抜群の名ライブアルバムだ。

『Live at the Regal』以外にもB.B.キングには優れたライブアルバムが多い。

『Blues Is King』(1966年)、『Live & Well』(1969年・注:ライブは前半のみ)、『Live in Cook County Jail』(1970年)、『Live in Japan』(1971年)なども見事な出来だ。

しかし、である。
スタジオ録音アルバムだからこそ堪能できる名演奏もある。

例えばアルバム『Lucille』(1968年)のタイトル曲《Lucille》。

B.B.キングは、この曲では一切歌わない。
B.B.キングは、自分のギター “ルシール” について語るのみ。
B.B.キングは、かつてラジオ局でDJをしていただけに、語りが抜群に上手い。

  ルシールは私を農園から連れ出し、名声をもたらしてくれた・・・
  ルシールとブルースを歌い始めたのは軍隊に行った時・・・
  ルシールはブルース以外、何もプレイしない・・・
  歌ってくれ、ルシール・・・

これは是非ともライブで聴いてみたい一曲だ。

B.B.キングは語りの部分をアドリブでどんな風に変えるのだろうか? 
B.B.キングの愛器 “ルシール” はたっぷり歌ってくれるのだろうか?

しかし《Lucille》を聴けば聴くほど、この曲をライブで再現するのは難しいだろうと思う。

スタジオ録音だからこそ、これだけ見事に感情を抑えて、クールにプレイすることが出来たのだろう。

B.B.キングがライブで《Lucille》を演奏することは一度もなかったと断言はできない。しかしB.B.キングは数多くのライブアルバムを残したが、そのいずれにも《Lucille》は収録されていないのは事実だ。

ないものねだりだが、《Lucille》を聴けば聴くほど、この曲をライブで聴いてみたくなる。

最後になるが、このアルバムには《Lucille》以外にも素晴らしい曲がてんこ盛り状態だ。

ソウルフルなナンバー《You Move Me So》や《I'm with You》、そして《Watch Yourself》などでB.B.キングは見事なギタープレイと共にパワフルな喉を披露する。

以外なほど評価されていない『Lucille』だが、私にとっては数多いB.B.キングのアルバムの中でも One of the Best 。

update 2011/08/12

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