2011年7月7日木曜日
ご高説賜りまして・・・ / B.B.キング
壇上には貫禄と押し出しのご立派な人物。
彼はその道の世界的碩学である。
「いや~、おっしゃるとおりですなぁ~」
「さすがセンセーや。ホンマに関心するわ~」
聴衆はただただうんうんと頷くばかり。
ご高説にじっくりと耳を傾ける。
「お~い、そこで聴いとるクラプトン君、ブルース・ギターちゅうのはやねぇ~、こんな風にプレイするもんなのよぉ~、判ったかねぇ~君ぃ~」
B.B.キングの説法が聴こえてきそうなライブだ。
『ライブ・イン・ジャパン』は1971年3月4日と7日にサンケイ・ホールにて録音された。
B.B.キング定番の《Every Day I Have The Blues》から始まり、《How Blue Can You Get ?》へと続き、最後は《The Thrill Is Gone》から《Hikari #88》で締める、ブルースの碩学による怒涛のライブだ。
『ライブ・イン・ジャパン』は2枚組のレコードとして日本のみで発売されたが、その後すぐ廃盤となり、ようやく1999年にアメリカMCAからCDとして再発売された。こんなに凄い録音が28年間も埋もれていたわけだ。
当時 “ライブ・イン・ジャパン系” のレコードは来日記念のご祝儀的なものだったらしいから、録音したレーベルもそれほどセールスに力を入れなかったのだろう。また日本のみで発売されることがほとんどだったから、本国での評価を気にせず、ミュージシャンも “手抜き” ライブの発売を許していたそうだ。
つまり多くの “ライブ・イン・ジャパン系” のレコードはミュージシャンにとって、簡単に金が稼げる、ちょっとしたボーナス程度のものだったのだろう。
しかしB.B.キングの『ライブ・イン・ジャパン』に手抜きは一切ない。
ここにはこってりと脂ののった食べ頃のブルースがたっぷり詰まっている。その脂身の美味しさ、極上のトロ顔負けだ。
当時B.B.キングは45歳。まさにブルースマンとしての完熟期を迎えていたのだろう。
ギター・プレイもそうだが、ねっとり・しっとりと歌い上げるヴォーカルも絶品だ。う~ん、天は二物を与えているではないか!
ちなみにB.B.キングは前年の1970年9月に刑務所で慰問ライブを行い、その時の模様が『ライヴ・イン・クック・カウンティ・ジェイル』として残されている。これも極上の出来だ。
思い出したけれど、このライブは二部構成で、一部は日本のロックバンドが出演していた。元タイガーズの沢田研二、元テンプターズの萩原健一、元スパイダースの井上堯之たちが結成したバンド、PYG なんかが出演していた。
当時のミュージック・ライフ(だったと思う)にB.B.キングと沢田研二や萩原健一が握手している写真が載っていた(見た記憶がある)。
update 2011/07/07
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音楽
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