2004年9月20日月曜日

Phil Woods / フィル・ウッズ


Alive and Well in Paris / フィル・ウッズ & ヨーロピアン・リズム・マシーン
1968

頭に血がのぼりやすい。

短気で直情的な性格はあまり評価されないのが世の常だ。

夏目漱石の『坊ちゃん』ではないが、このタイプの性格は損をすることが多いようだ。自分もどちらかというとこの手の性格だけによく分かる。

さて、フィル・ウッズだが、このアイルランド系の男もかなり直情的な性格の持ち主だと思う。オレの事を認めないアメリカなんかに住んでられるか、とフランスに渡り、そこで1968年に録音されたのが本作だ。だからタイトルは『Alive and Well in Paris』。

一曲目は《And When We Are Young》。哀愁を誘うド演歌的に咽び泣くアルト・サックスから始まるこの曲にこそフィル・ウッズの直情的な性格がモロに表れている。これは1968年6月5日、ロスのアンバサダー・ホテルで暗殺されたロバート・ケネディに捧げられた曲だ。

ウッズは胸の中の悲しみと憤りをアルト・サックスから一気に搾り出す・・・、と書けばカッコいいのだが、これが結構劇画タッチでクサい。

しかしその心意気、しかと受け止めました。こんなに直情的な追悼曲があってもいいだろう。サックスの決めのフレーズの後は一転してボサ・ノヴァ風リズムでぐんぐん突き進むという展開も何だかよく分からんが凄い迫力だ。

しかし同じ追悼曲でもマイルス・デイヴィスがデューク・エリントンに捧げた《He Loved Him Madly》のクールに抑制された響きとはえらい違いだなぁ。

マイルス・デイヴィスも『Miles Smiles』で取りあげている有名曲、《Freedom Jazz Dance》ではウッズの直情的な性格がいい方に作用している。スピーディーで風圧を感じるほど勢いのあるサックスは最高だ。バシ・バシ・ビシッと決まる ジャブとフックの連打のような快演は聴いていてスカッとする。

高血圧なフィル・ウッズをサポートするフレンチ・リズム・セクションも聴き逃せないぞ。

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