2004年8月30日月曜日

Horace Silver / ホレス・シルヴァー


Blowin' The Blues Away / ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ
1959

時は1959年、場所はニューヨーク。

ある日、熟れた果実がポトリと枝から落ちる。

ホレス・シルヴァー・クインテットの木から完熟ハード・バップ果実が落ちた瞬間を捉えたアルバムがこれだ。

有名なバードランドの夜のギグから5年後。ハード・バップの仕掛け人の一人、ホレス・シルヴァーは朋友アート・プレイキーと別れ、自らのクインテットを率いていた。メンバー構成はブルー・ミッチェル(tp)、ジュニア・クック(ts)、ジーン・テイラー(b)、ルイス・ヘイズ(ds)という若手が中心。

しかし恐るべきはホレス・シルヴァー、既にこの時点で他のメンバーを完全に “ホレス化” することに成功しており、4人はホレスの手となり、足となり、ハード・バップの真髄を叩き出す・・・。

ガンガン・ノリノリのタイトル曲 《Blowin' The Blues Away》から始まる本作はそんなハード・バップ史上最強のバンドの一つが生み落とした傑作なのだ。ファンキーでキャッチーな名曲《Sister Sadie》も、トリオでしっとり演奏される《Melancholy Mood》も、う~ん、たまらん、参りました。こんな曲ばかり聴いていたらこちらも “ホレス化” されそうだ。それにクインテット編成の曲とトリオ編成の曲をバランスよく配置しているところもニクイなぁ。

話は脱線するが、ホレス・シルヴァーこそジャズ界のポール・マッカートニーだと思う。

まずこの二人の音楽は判りやすい。私は音楽理論なぞ全く判らないが、二人とも決して単純な曲を作っているのではないはずだ。だがホレスとポールのが作る曲は 耳ざわりが良く、そのジャンルのシロートでも十分楽しめるものが多い。これは天性のメロディー・センスとも関係あるのだろうが、良い意味でのエンターテイ ンメント性、簡単に言えば芸人根性、があるからだろう。

それにホレスが率いるこのクインテットの楽しさと素晴らしさはポール・マッカートニー&ウイングス並みだ。

ツボの押さえ方とツカミの上手さがお見事な一枚。

And More...


The Stylings Of Silver / ザ・スタイリングス・オブ・シルヴァー


Doin' The Thing / ドゥーイン・ザ・シング


Song For My Father / ソング・フォー・マイ・ファーザー

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