2009年12月8日火曜日
両親の記憶 / クリップルド・インサイド
ジョン・レノンの父親、アルフレッド・レノンは商船の乗組員で、蒸発癖のある男だったらしい。母親のジュリアは他の男性と同棲していたこともあり、幼いジョン・レノンは母方の叔母、ミミ夫婦に引き取られ、育てられた。
私の両親は、私が未だ物心のつかない2歳の頃に離婚した。
その後、私は父方の祖父母に育てられた。だから母親の記憶は全く無い。そして父親と暮らした幼年期の記憶も殆ど無い。私の父親に蒸発癖があったのかどうか知らないが、父親が腰を落ち着け、ようやく私と一緒に暮らしだしたのは、父親が再婚した後、私が小学3年生の夏休みに入ってからだ。
ジュリアン・レノンが生まれた時、両親と生活したことのないジョン・レノンは、息子にどう接すればいいのか分からずに、戸惑ったらしい。「『どうしたらジュリアンが喜ぶか教えてくれないか? やり方が分からないんだ』とジョンに聞かれたことがある」とポール・マッカートニーは語っている。
ジョン・レノンの戸惑いを知った時、私もハッとした。
最初から息子に対してどのように接するべきか、その方法を熟知しているような父親は多分どこにもいないと思うが、幼年期に両親と過ごしておらず、両親の記憶が無いだけに、私も息子が生まれた時には戸惑った。
幼い息子との接し方は?
幼い子どもにとって、父親とは一体どのような存在なのだろうか? いくら考え、悩んでも答えは出ない。結局私は、かなり年の離れた兄として、息子と接することにした。
父親が3度目の結婚をした時、年の離れた弟ができたので、兄としての立場は少しばかり経験済みだったからだ。
これは父親の役割を放棄したことになるのだろうか? こんな接し方が良かったのか、悪かったのか、私には判らない。
ジョン・レノンの《Crippled Inside / クリップルド・インサイド》を聴くと、今でも私の内部には何か重要なものが欠落しており、例えば誰もが持っていて当たり前の家族に対するある種の愛情のようなものが欠落しており、“内面的な不具” なのだろうかと考え込んでしまう。
You can shine your shoes and wear a suit
You can comb your hair and look quite cute
You can hide your face behind a smile
One thing you can't hide
Is when you're crippled inside ...
《Crippled Inside / クリップルド・インサイド》は陽気なアップテンポで歌われる、背筋がゾッと凍えるような歌詞の曲だ。私にとっては。
John Lennon / ジョン・レノン
Imagine / イマジン
update 2009/12/08
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