2009年10月30日金曜日

Otis Redding / オーティス・レディング


Otis Blue / Otis Redding Sings Soul / オーティス・ブルー
1965


Live in Europe / ヨーロッパのオーティス・レディング
1967

汗、そして涙。

Otis Redding / オーティス・レディングは “体液” の人だ。

熱く、ソウルフルに、激情を込めて歌い上げながら、“体液” を撒き散らす。

なんだかちょっと不潔なイメージになってしまったが、私にとって不世出の天才ソウル・シンガー、オーティス・レディングはそんな人なのだ。

アップ・テンポのノリの良さ、しっとりとしたバラードの説得力、そして他人の歌を完全に自分の歌にしてしまう消化力。いずれもが素晴らし過ぎる。

オーティスは26歳で自家用飛行機による事故のため命を落とすが、この若さで、これほど完成されたヴォーカリストはいない。ただただ驚くのみだ。



『Otis Blue / オーティス・ブルー』はスタジオ録音の傑作で、当時まだ24歳そこそこの若造(失礼!)が歌ったものだとは到底思えない。

スタジオ録音だけにオーティスにしては “体液発散量” が少ないアルバムだが、心の芯からじっくり温まる、熱い名アルバムだ。

ここではスタックス・レーベルのハウス・バンド、Booker T. & the M.G.'s / ブッカー・T. & ザ・MGズやIsaac Hayes / アイザック・ヘイズがオーティスをサポートしていて、特にブッカー・T. & ザ・MGズの見事な演奏も聴き逃せない。

収録曲11曲中、《Shake》、《A Change Is Gonna Come》、《Wonderful World》とオーティスはSam Cooke / サム・クックの曲を3曲もこのアルバムでカバーしている。

オーティスが10歳年上の先輩で、前年の12月に射殺されたサム・クックを如何にリスペクトしていたかが判る。だからこのアルバムはオーティス流のサム・クックへのレクイエムであり、トリビュート・アルバムとも考えられる。

振る・揺り動かす ~ 変革は訪れる ~ 素晴らしい世界。意味深な3曲だ。

『Live in Europe / ヨーロッパのオーティス・レディング』はオーティスの生前にリリースされた最後のアルバム。

当時26歳、油の乗ったオーティスが、とにかく熱気ムンムン、とてつもない量の “体液” を発散している様子を収録したライブ盤の傑作だ。ここでもブッカー・T. & ザ・MGズのサポートが光る。

前出の『Otis Blue / オーティス・ブルー』に収録されている《Respect / リスペクト》、《I've Been Loving You Too Long / 愛しすぎて》、《Shake / シェイク》、《My Girl / マイ・ガール》の4曲がこのアルバムではライブ・ヴァージョンで聴ける。

そして『Otis Blue / オーティス・ブルー』と『Live in Europe / ヨーロッパのオーティス・レディング』ではロックの名曲、《Satisfaction / サティスファクション》や《Day Tripper / デイ・トリッパー》まで、オーティスは己のスタイルに消化し、見事に歌い上げている。

この2枚はコインの裏・表の関係のようなもので、私にとっては2枚で一組なのだ。

1962年から1967年まで、5年間を熱く、激しく、駆け抜けたオーティス・レディング。

彼は神様からの贈り物だったのだろうか・・・。



オーティス・レディング : 享年26歳。

合掌。

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