2004年7月10日土曜日
Rolling Stones, the / ザ・ローリング・ストーンズ
Beggars Banquet / べガーズ・バンケット
1968
私にとってのローリング・ストーンズといえば『Beggars Banquet / ベガーズ・バンケット』なのだ。これには何の躊躇いも迷いも無い。
前作まで引きずっていたビートルズ・コンプレックスから完全に解き放され、このアルバムでストーンズは自分達の音楽のルーツであるブルース、敬虔なキリスト教徒からは悪魔の音楽と忌み嫌われていたブルースをとことん突き詰める。
呪いのこもったパーカッション、どくどく溢れ出る鮮血ようなピアノ、稲妻のように天から落ちてくるギター。そんな《Sympathy for The Devil》から始まるこのアルバムは文句無しに凄い。
《Prodigal Son / 放蕩息子》や《Salt of The Earth / 地の塩》が象徴するように、このアルバムの底辺には聖書とアメリカ南部の貧しい黒人たちの世界へのシンパシーがある。
そしてこの黒人たちの世界を通して、ストーンズは自分たちの姿を、自分たちの立ち位置を歌い上げている。
ストーンズが生まれた労働者・中産階級の世界観を構成するキリスト教と悪魔の音楽と忌み嫌われていたブルース。この二つが激しくぶつかり合い、そこからストーンズ独自の音楽が、そして本物のロックが生まれてくると主張しているかのようだ。
また《Prodigal Son / 放蕩息子》はドラッグとアルコールでほとんど使いものにならなくなっていたかつてのリーダー、ブライアン・ジョーンズへの哀歌でもあるのだろうか?
すでに心身ともにボロボロになっていたブライアン最後の輝き、彼のスライドギターがギュンギュン唸る《No Expectation》の壮絶な美しさはこのアルバムのハイライトの一つだ。
『Beggars Banquet / ベガーズ・バンケット』発売の翌年、1969年6月8日にブライアンはストーンズを脱退(実質的な解雇)、そしてほぼ1ヶ月後の7月3日に自宅のプールで謎の死を遂げることになる。
今ではとても考えられないが、当時はジャケットにトイレの写真を使うという事だけでも問題になったらしく、このアルバムは白いジャケットの中央にバンド名とアルバム名、それと左下に R.S.V.P.という文字が筆記体で記されたシンプルなデザインで発売された。
だから昔からのファンの私には、トイレ・ジャケットの方がニセっぽくて、白いジャケットの方がオリジナルっぽく思える。
左下の R.S.V.P.とはフランス語の Répondez s'il vous plaît (「ご返事をください」の意味)の略 で、最初のジャケットは Beggars Banquet / べガーズ・バンケット(乞食の宴会)への招待状としてデザインされた訳だ。
そしてインナー・ジャケットには宴会の様子が印刷されていた。
さて、貴方はこの宴会に参加されますか?
And More...
12 X 5
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音楽
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